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高周波加熱・・誘導加熱と誘電加熱について

 
高周波誘導加熱・誘電加熱について説明しています。知りたい項目をクリックして下さい。
 
高周波加熱とは
 
・電磁波と高周波加熱
・高周波装置の使用許可
・電波障害とノイズ
・高周波装置の安全性
 
高周波誘導加熱
 
・誘導加熱の原理
・誘導加熱の特徴
・誘導加熱装置構成
・高周波電源装置の選定
 
高周波誘電加熱
 
・誘電加熱の原理
・誘電加熱の特徴
・誘電加熱の応用
 

電磁波と高周波加熱

 
・電磁波は、下図の上段に示すように、ラジオ、テレビ、X線レントゲン、宇宙から飛来する宇宙線、更には自然界に存在する赤外線や紫外線など、電気の波の総称をいいます。

・高周波とは、電磁波の内、電波と呼ばれ分類される(図下段)なかの周波数により区分された一部の周波数を言います。

・区分では、周波数が3KHzから300MHzを高周波(High Frequency)と呼びますが、高周波加熱はその前後を含めた周波数を用いた加熱の総称として用いられることがあります。
 
 

高周波装置の使用許可

 
・高周波利用設備としての高周波加熱装置は、公共の電波利用を管理する観点から、電波法に基づいて総務省総合通信局に許可申請を届け、利用許可状を得て使用することとなっています。
・但し、周波数が9KHz以下の場合、出力が50W以下場合、更に、ISM Bandと称される特定周波数を利用する装置の場合などの例外規定があります
・許可申請は、高周波加熱装置の新設、増設、移転、廃棄などが発生した場合には、必ず届出を行う事が必要です。許可申請については、各装置メーカーとご相談下さい。
 

電波障害とノイズ

 
・一般の高周波加熱装置の場合、基本周波数と同時に、その整数倍の高調波と呼ばれる電波が派生します。従って、テレビ、ラジオや防災無線などの他の電波利用設備に対して電波障害を引き起こす要素があります。

・特に、高周波誘電加熱装置で使用している周波数は放送電波に近いために、電波障害の原因となりやすくなりますので、シールドなどの手法を使って放射される電波の強さ(漏洩電界強度)を抑える必要があります。

・電波法では電波障害の観点から規制を行っていますが、ノイズについては、高周波設備に限らず、CISPRなどの国際的機関にて各種の規制や勧告をおこなっています。

・ノイズの問題については、高周波設備から放射される電波の強さと、電波を受けた他の設備のノイズに対する免疫力の相関関係があります。一般的には高い周波数ほど波長が短く、反射が大きいためにノイズ原因となる場合があると言われています。
 

高周波装置の安全性

 
・高周波装置の安全性については、「高電圧や大電流による感電と火傷の危険性」と、「電磁波による生体への悪影響」の両方を考える必要があります。

・「高電圧や大電流による感電と火傷の危険性」については、装置メーカーと使用者側で十分に打合せを行い、装置の使い易さと安全性の確保の観点から適切な対策を講じる必要があります。

・「電磁波による生体への悪影響」については、電界による人体の温度上昇による影響や磁界による細胞への影響など、様々な議論がなされています。これは、高周波加熱装置に限らず、携帯電話、高圧電線やリニヤモーターカーなどによる影響も含めて議論や検証がなされています。

・人体が電磁波によりその生体に影響があることは事実ですが、人間の生活環境は電磁波に囲まれており、電磁波の影響を遮断する事は出来ません。

・高周波加熱装置の場合は、一般的に大きな出力を使用するために、必然的に被爆量も大きくなりますので、装置側と使用者側の双方で、十分に説明と理解をもって対処する事が望ましいと考えます。
 

高周波誘導加熱の原理

 
 
高周波誘導加熱
 
原理
左図のように、加熱コイルに高周波電流(交流)を流すと、交番磁束が被加熱物(導体)を貫通し、高密度の電流(うず電流)が流れます。そのジュール熱で被加熱物は急速に加熱されます。
 
・最も身近な例は"電磁調理器"です。
・非常に多く使われているのが"焼入や溶解"です。
・被加熱物は、金属などの導体が対象になります。
・加熱コイルの形状により、様々な利用があります。
 

高周波誘導加熱の特徴

 
直接加熱で高効率
(加熱物自体が発熱)
・急速加熱ができる 材料自身が発熱し、投入電力により急速高温加熱が可能
・高温加熱ができる
・ガス/真空雰囲気中で加熱が可能 磁束により誘起される誘導電流により材料が加熱される
・絶縁体を透過して加熱ができる
・圧締条件下でも加熱ができる
加熱制御の容易性
(温度・時間・選択性)
・コイル形状により部分加熱ができる コイルに発生する磁束分布
・温度制御が容易で再現性が高い 投入電力制御とフィードバック回路で容易な制御
・出力制御が容易で、応答性が早い
・他の熱源との複合化ができる  
・熟練技能を必要としない センサーと制御の組み合わせ
安全性と環境負荷
(安全作業・作業環境)
・炎がでないので作業が安全 材料自身が発熱するので周囲環境への影響が非常に少ない
・周囲が高温にならず、環境に優しい
・電気エネルギーでクリーン加熱 トランジスタでは90%以上の変換効率
・省電力・省スペースが可能
・高効率発熱量で省電力
 

誘導加熱の装置構成

 
 
高周波電源
 
高周波電源
・所定の周波数による必要な高周波電力を発生させる。
・トランジスタ式、サイリスタ式、電子管式などがある。

整合器(マッチング回路)

・加熱コイル及び被加熱物の電気乗数に合わせて効率良く
高周波電力を伝送するためのユニット
・高周波電源内蔵型と分離型がある

加熱コイル
・被加熱物の形状や加熱部分、断熱材の有無などにより多様な形状を作る
・加熱コイルは銅パイプが多く、銅パイプ内部に冷却水を通す

温度測定と制御
・熱電対や放射温度計で温度を測定し、温度調節器を使用し高周波出力を任意に制御する
 

誘導加熱電源の選定

 
下記の各要素を検討して高周波加熱装置の電源などをご検討下さい
 
出力選定 ・必要電力量(KW)=4.18 x M(負荷質量Kg) x C(比熱) x冲℃/加熱時間(sec)
・所要高周波出力(KW)=必要電力+放熱損失+回路効率+コイル結合効率+負荷特性
加熱目的 局部加熱、表面焼入などは大きな電力を短時間で投入
加熱材料 各種金属材料により単位質量当たりの正味電力量は異なる
加熱温度 高温領域になるほど放射損失が逓増する
真空・ガス雰囲気 出力=電流x電圧であり、電圧を高くすると放電危険が増大
周波数 ・周波数が高いほど負荷に流れる電流の浸透深さは浅くなる(表面加熱となる)
・周波数が低いほど電磁撹拌効果は大きくなる
加熱目的 表面焼入れは周波数を高く、溶解などは周波数を低くする
加熱材料 鋼材は変態点で組成が変わる。電気的抵抗∝浸透深さ
加熱温度  
真空・ガス雰囲気  
コイル形状 加熱効率は加熱コイルと負荷間ギャップの2乗〜3条に反比例する
加熱コイルの内周部の磁束密度が最も高く、加熱効率が高い
コイル素材 材質は銅。銅パイプ、銅板又は銅加工品
ソレノイド型 リング型の加熱コイルで、内部に負荷を配置
パンケーキ型 平面加熱に利用される。加熱効率はソレノイド型の1/3程度
ヘアピン型 局部加熱に利用される。加熱効率はソレノイド型の1/2程度
特殊型 メガネ型や鞍型など、用途に合わせて形状・構造を決定
加熱部構造 石英管の内部に雰囲気を作り、加熱コイルは外部に配置
真空炉体の内部に加熱コイルを配置
加熱コイルをマテハンなどで移動。ロー付けなどの治具配置
大気雰囲気 被加熱物が酸化する。放熱が大きい
真空雰囲気 被加熱物の酸化抑制。真空度によりプラズマ発生。断熱効果大
ガス雰囲気 被加熱物の酸化抑制。ガス種・圧力よりプラズマ発生。
断熱構造 断熱材厚みは、放熱損を抑制するがコイル結合効率は低下
マテハンなど 加熱コイルの周辺に配置する治具・搬送系に電流誘起を考慮
 

誘電加熱の原理

 
 
原理
左図のように、被加熱物(誘電体)が電界内におかれると、誘電体内部で分極が起こり、電荷が生じます。この電界の向きは周波数の速度で変化し、双極子は激しい内部摩擦を起こします。これが発熱となって現れます。
 
特徴
■対象物自体発熱するので過熱効率が高い
■ない外部が同時に発熱するので、急速加熱ができる
■容器内部の対象物を選択加熱できる
■加熱制御が容易にできる

・最も身近な例は電子レンジです。
※電子レンジの場合は、マイクロ波誘電加熱。原理は同じ
・非常に多く使われているのがビニール溶着や建材の接着です。
・被加熱物は、水や木材、プラスチックなどの絶縁体で分極が起こる材料が対象になります。
・電極の形状により、様々な利用があります。

そして
高周波プレヒーターは全世界で利用されている誘電加熱装置です。
 

誘電加熱の長短所

 
長所
■内外部の急速・均一加熱
・被加熱自身が発熱するので肉厚材料の場合でも急速・均一に加熱することができる
■雰囲気中の直接加熱
・真空や不活性ガス雰囲気中での加熱ができる
■包装内部材料の加熱ができる
・プラスチックフィルムなどで包装された内部食品材料なども加熱することができる
■熱効率が高い
・被加熱物自身が発熱するので、外部からの加熱に比較し、熱効率が高く経済的である
■選択加熱
・材料による誘電損失係数の差を利用して、局部・選択加熱をすることができる
■起動・温度制御が容易
・電源投入と同時に加熱開始し、高周波電力の自在な制御などにより、スピーディーな温度制御ができる
■作業環境と安全
・燃焼をしないので、有毒ガスの発生や周囲環境が高温にならず作業環境が良い
 
短所
■電力変換効率が悪い
・電子管(真空管)を使用した高周波発生回路を使用するので、投入電力vs出力電力の変換効率が悪い
■設備費が他の加熱源と較べて高い
・他の加熱手段(ガス、重油、抵抗加熱など)に比較し、装置設備費が高い
■加熱できる材料・形状の制限
・加熱できる材料の制限や発熱量の相違があり、さらに材料形状が一定でない場合は、均一に加熱ができない
■電磁波障害の危険性
・漏洩電界によるノイズ発生や通信障害を発生する危険性がある
 

誘電加熱応用事例

 
高周波誘電加熱の応用事例を示します
溶着 高周波ウエルダーとして主として塩ビ樹脂フィルムによる様々な溶着加工に利用。
浮き輪などの空気物玩具、ウォーターベッド
ファイル、手帳表紙など文房具
輸液、採血バッグ、カテーテル
原子力発電に関わる低レベル廃棄物の塩ビ封止
繊維製品の芯地溶解など
予熱 高周波プレヒーターとして主として熱硬化性樹脂の成型前予熱に利用
メラミン製食器・テーブル什器、フェノール製漆塗用食器・什器の圧縮成型前予熱
コミテーターや自動車・機械部品の圧縮成型前予熱
コイル、コンデンサーなどの電気部品のトランスファー成型前予熱
IC、トランジスタなどの半導体部品のトランスファー成型前予熱
乾燥 木製家具・建材・集成材などの接着剤の急速乾燥
印刷業界における水性インクや水性接着剤などの急速乾燥
木材や殻類などの農産物の乾燥
陶磁器などの窯業材料の焼成前乾燥
染色後の繊維の乾燥
その他 合成繊維製のロープやテープなどの熱処理
冷凍食品などの解凍、殺菌
木材や殻類などの農産物の乾燥
 
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